現在の国連事務総長グテーレスはどんな人?年収や選出方法を解説!

時事

イスラエル政府により、国連事務総長が当国への入国禁止となったことが話題となっています。

イランのイスラエルに対する攻撃を非難しなかったことが理由として推察されています。

では、そもそも国連事務総長とはどのような人物がなれるのでしょうか。現任者やその決め方などについてまとめました。

現国連事務総長:グテーレスの人物像

現在の国連事務総長は、アントニオ・グテーレス(António Guterres)氏です。彼は2017年に就任しました。彼はポルトガル出身で、国際的な平和や人権問題に深い関心を持った人物になります。

背景と経歴

グテーレス氏は1949年生まれで、現在75歳になります。

元々ポルトガルの政治家で、1995年から2002年までの7年間ポルトガルの首相を務めました。この間、彼は国の経済改革や社会保障に力を入れました。

首相を退いた後、2005年から2015年まで、国連難民高等弁務官として活動しました。この役職では、世界中の難民を支援し、特にシリア内戦やアフリカの紛争地での難民問題に取り組んでいました。

国連事務総長としての役割

国連事務総長は、国連(United Nations)のリーダーです。国連は世界中の国が加盟している組織で、平和を守るための活動や、貧困、教育、人権などの問題に取り組んでいます。グテーレス事務総長は、そのリーダーとして世界中の問題解決に向けて国連を指導しています。

  • 平和維持: 世界の紛争や戦争が起こっている場所で、対話や外交を通じて平和を守る活動をしています。
  • 気候変動への対策: グテーレス氏は気候変動問題にも強く取り組んでいます。彼は、気候変動が地球全体に深刻な影響を及ぼすことを警告し、多くの国が環境保護の取り組みを遅らせている一方で、各国に対してこれを加速させる必要があると訴えています。
  • 貧困と人権の保護: 世界中の貧困層の生活向上や、基本的人権の保護にも尽力しています。特に紛争地域や開発途上国の支援に力を入れています。

直近のニュースについて

彼は、イランによるイスラエルへの弾道ミサイル攻撃に対する発言を受けて、イスラエルへの入国を禁止されました。具体的には、SNS「X」で、イランによるイスラエルへの約180発のミサイル攻撃後、「中東紛争の拡大」を非難し、停戦が「絶対に必要だ」と述べましたが、イランの攻撃には言及しませんでした。

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これに対して、イスラエルの外務大臣イスラエル・カッツは、グテーレスを「テロリストを支持する反イスラエルの事務総長」と非難し、彼を「Persona non Grata (person not welcome)」(ラテン語で好ましくない人物)と宣言しました。

カッツ氏は、イランの攻撃を明確に非難しないグテーレスを批判し、彼の反イスラエル政策を非難しています。この攻撃は、約1年前に始まったハマスのイスラエルへの攻撃から続く紛争の激化の一環です。

国連事務総長の選出条件・待遇

国連事務総長の決め方

国連事務総長は、国連安全保障理事会の推薦を受けて国連総会で任命されます。事務総長の任期は5年間です。また再任されることで、最大で2期10年間務めることができます。

任命には安保理の常任理事国(アメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリス)の全会一致の承認が必要です。伝統的には各大陸からバランス良く選ばれることが多く、国連加盟国の支持が重要です。

グテーレス氏は2021年に再任され、2期目を務めています。彼の再任は、特に彼のリーダーシップや多くの国際問題に対する対応が評価された結果です。

国連事務総長の年収

国連事務総長の年収は、税引き前で約22万7,000米ドル(約3,400万円)とされています。この給与は、国連の主要スタッフの給与スケールに基づいており、さらに事務総長には住宅提供やその他の手当も含まれることがあります。

国連事務総長に必要な経歴

事務総長には、以下のような要素が期待されます:

  • 外交的手腕:国際的な外交経験や政治的影響力が求められます。
  • 国際機関での経験:国連やその他の国際機関での豊富な経験があると有利です。
  • リーダーシップ能力:国際的なリーダーシップを発揮し、各国の意見を調整する能力が重要です。
  • 公正さ:特定の国や勢力に偏らない中立的な姿勢が必要です。

具体的な資格は定められていませんが、政治や国際関係、外交に精通していることが重視されます。

国連事務総長の特権

国連事務総長は、国際社会における非常に重要な役割を果たすため、いくつかの際立った特権を持っています。

外交的免責と国際的な移動の自由

国連事務総長には、国際法に基づく外交的免責が与えられ、法律上の訴追や逮捕から保護されています。また、どの国にも自由に移動できる権利があり、事務総長の任務においては特別なビザが必要ありません。これにより、紛争地や問題のある国でもスムーズに調停や外交活動を行うことが可能です。

国連機関の指導者としての統括権限

事務総長は国連の主要な指導者であり、国連の機関や事務局を統括する立場にあります。このため、国際連合の人道的、経済的、社会的な活動全般を監督し、政策を指導する権限を持っています。

日本と国連事務総長との目立った関わり

日本は国際社会における重要なプレーヤーであり、国連事務総長とも様々な形で深い関わりを持っています。

日本の国連分担金

日本は長年にわたり、国連への分担金で世界第2位の負担国であり、現在でも大規模な貢献を続けています。これにより、日本は国連の活動や政策において重要な役割を果たしており、国連事務総長との関係も緊密です。日本の財政支援は国連の平和維持活動や人道支援に大きく貢献しています。

事務総長選出における日本の影響

国連事務総長の選出プロセスにおいて、日本は安全保障理事会の常任理事国ではないものの、選出に影響を与える非常任理事国としての役割を果たしてきました。事務総長候補の推薦に関する勧告決議に投票できます。この投票によって、安保理が推薦する候補者が決まります。

日本人の国連高官としての役割

日本からは、国連の高官として活躍する人材が多く存在しています。特に、国連副事務総長や国連の主要機関でのリーダーとして活躍する人物が多く、日本の影響力は国連内でも非常に大きいです。しかし、国連事務総長には日本人はまだ選ばれていません。これは、日本が戦後、国際社会で築いてきた平和主義や国連への貢献が評価されつつも、事務総長の選出における政治的バランスや地域的な配慮が影響しているためです。

国連平和維持活動への貢献

日本は国連の平和維持活動(PKO)に対しても積極的に貢献してきました。1990年代以降、日本の自衛隊はカンボジアや南スーダンなどでの国連平和維持活動に参加しており、国連事務総長との関わりを深めています。これらの活動を通じて、国連と日本の協力関係が強化されています。

国際的な課題への協力

国連事務総長は、地球規模の課題(気候変動、貧困削減、ジェンダー平等など)に取り組む際、日本と連携してきました。特に気候変動問題では、国連気候変動枠組条約(COP)やパリ協定などで日本の取り組みが評価され、事務総長と連携してリーダーシップを発揮しています。

歴代の著名人

歴代の国連事務総長の中には、ノーベル平和賞受賞者がいます。

ダグ・ハマーショルド(スウェーデン、1953-1961)

受賞年: 1961年(追贈)

ダグ・ハマーショルドは、2代目国連事務総長で、国際紛争の調停や平和維持活動を推進し、国連の役割を強化しました。特に、中東やコンゴでの和平活動が高く評価されています。1961年にコンゴでの和平任務中に飛行機事故で亡くなり、その後、ノーベル平和賞が追贈されました。彼の献身的な平和活動は今も国連史上で語り継がれています。

コフィー・アナン(ガーナ、1997-2006)

受賞年: 2001年

コフィー・アナンは、7代目国連事務総長で、国連と共に2001年にノーベル平和賞を受賞しました。彼は人権の推進、平和維持活動、アフリカの問題解決、そして国連改革に尽力しました。特にアナンのリーダーシップは、冷戦後の新しい国際秩序において、国連の重要性を再認識させました。