南部鉄器は、日本の伝統工芸品として長い歴史を持ち、特に「岩鋳(いわちゅう)」と「及源(おいげん)」はその中でも有名な老舗ブランドです。南部鉄器の愛好者にとって、この二つのブランドはよく比較される存在ですが、実際にはどのような違いがあるのでしょうか?
この記事では、岩鋳と及源の違いを中心に、南部鉄器の魅力や使い方、メンテナンス方法まで詳しく解説していきます。
岩鋳と及源の違い:職人技とデザイン
まず、岩鋳と及源はどちらも南部鉄器の製造で知られる老舗であり、共に岩手県盛岡市で創業されています。岩鋳は1902年に創業し、及源は1852年と、より長い歴史を持っています。どちらも職人の手による伝統的な製法を守りつつ、現代のニーズに応じたデザインや機能性を追求していますが、以下の点で違いが見られます。
デザインと用途
岩鋳は、鉄瓶や急須を中心に、伝統的な南部鉄器の美しいデザインを守りながらも、モダンな形やカラーバリエーションを豊富に展開しています。
一方、及源は、鉄瓶や鍋だけでなく、フライパンやグリルパンなど、調理器具のラインナップが充実しており、特に「煮る」「焼く」といった日常的な料理に役立つアイテムが揃っています。デザインの面では、よりシンプルで使いやすいものが多く、実用性に優れている点が特徴です。
価格と品質
価格面では、岩鋳の方が比較的高価なアイテムが多い印象がありますが、その分、デザインや質感にこだわりが強く、芸術品としての価値が高いものも見受けられます。及源は、価格帯がやや抑えられている一方で、機能性を重視した製品が多く、日常使いに適したアイテムが多いです。どちらも高品質であることに変わりはなく、予算や使用目的に応じて選ぶと良いでしょう。
最高で100万円に達するものもあります。
及源と岩鋳の店舗
及源の店舗
岩手県奥州市に、及源鋳造の直売店があります。
ここでは専門のスタッフさんにより、商品一つ一つの細かな説明を受けることが出来るため、自分にピッタリの一品に出会うことができます!
また、合計11,000円(税込)以上を購入すると、全国一律送料無料ですので、旅の途中で購入しても安心です。
白湯の試飲体験!
店舗ならではの嬉しい体験として、白湯を試飲させてもらうことができます。南部鉄器の鉄瓶で沸騰すると、水の角がなくなり、柔らかく飲みやすい白湯になり感動します。また鉄分も補給できますので、なにより嬉しいですね!
モンベルクラブ会員特典
モンベルクラブ会員向けの特典として、購入時に無料ギフトとして、箸置きがもらえます。
岩鋳の店舗
岩手県盛岡市にある岩鋳鐵器館は、「テーマパーク型工場」と謳われており、工場とショップが一体化している点がその魅力です。
<左:ショップ、右:工場>
このユニークな構造により、訪問者は南部鉄器が作られる過程を間近で見ることができます。溶けた鉄が型に注がれ、細かい仕上げが行われる様子まで、全てを目の当たりにすることができます。
南部鉄器の老舗 おすすめアイテム
南部鉄器の老舗ブランドとして、岩鋳と及源の製品はどれも優れていますが、特に以下のアイテムは人気が高く、初心者にもおすすめです。
及源の「Naked Finish」シリーズ
及源の鉄鍋は、煮込み料理や焼き物に適しており、均等な熱伝導と保温性が特徴。料理が冷めにくく、美味しさを長時間保つことができます。特に「煮込み鍋」や「グリルパン」は、シンプルで使いやすく、長く愛用できるアイテムです。
「Naked Finish」と呼ばれるプレミアムラインは、南部鉄器の素朴な美しさを、機能性とミニマリストなデザインで強調しています。
Oigenの「Naked Finish」の鉄器は、まず視覚的に楽しむことができます。無塗装ですが錆に強い。使い込むことで、油が馴染み、グレーから南部鉄器らしい黒色へと変化していきます。
それだけでなく、非常に実用的です。蓄熱力があり、表面温度が高いので料理が均一に調理されます。そのまま食卓に置くことも出来るため、例えば餃子などをアツアツの状態で食べ続けることができます!
ショップのスタッフさんは、もちろん自社商品を日常使いされており、料理のレベルを大幅にアップできると絶賛していました。私は個人的に、主力調理器具として、彼らの楕円形のフライパンを買いました。
岩鋳の「鉄瓶」
その美しいデザインと機能性で、長年愛されています。鉄瓶を使うことで、水がまろやかになり、特にお茶を淹れる際には、より深い味わいが楽しめます。デザイン性の高さもあり、贈り物にも最適です。
キャラクターがテーマの南部鉄器
キッチンに遊び心を添える、キャラクターテーマの南部鉄器も揃えており、可愛らしさと個性を楽しむことができます。
<ハローキティやポケモン、ドラえもんのキャラクターデザインの鉄瓶>
オンラインショップ:http://www.iwachu.info/fs/iwachu/c/gr2
南部鉄器の魅力とは?
南部鉄器の魅力は、単なる調理器具以上のもので、QOLを上げてくれる品物です。
上述の通り、鉄器は熱伝導が非常に優れており、均等に熱が伝わるため、調理中にムラなく火が通ります。また、保温性も高く、料理を長時間温かく保つことができます。さらに、南部鉄器で水を沸かすと、鉄分が溶け出し、体に優しい鉄分補給ができるという健康面のメリットもあります。
南部鉄器は何年使えるのか?
南部鉄器は適切にメンテナンスを行えば、数十年、さらには次の世代に引き継ぐことも可能な耐久性を誇ります。実際に100年以上使われている鉄瓶も存在しており、家宝のように大切に扱われるケースも多いです。定期的な手入れを行うことで、錆びにくくなり、長く美しい状態を保つことができます。
南部鉄器のサビは体に悪いのか?
南部鉄器は、正しく使えば錆びにくいものですが、万が一錆びてしまった場合、その錆が体に悪いかどうかは気になるところです。基本的に、鉄の錆は人体に害を与えるものではありません。少量の錆は、むしろ鉄分として体内に吸収されるため、健康面で大きな問題はありません。しかし、見た目が気になる場合は、錆を落としてから使用するのが良いでしょう。
南部鉄器は何で洗えばいい?
南部鉄器の洗い方は非常にシンプルです。基本的には「水洗い」で十分です。洗剤を使うと、鉄器に吸収された油分が流れ出してしまい、錆びやすくなるため、避けた方が良いです。使用後は、しっかりと水分を拭き取り、火にかけて乾燥させることが重要です。また、油を薄く塗っておくと、錆防止に効果的です。
結論:岩鋳と及源の違いを知り、南部鉄器を長く愛用しよう
岩鋳と及源の違いは、デザインやラインナップ、価格帯にありますが、どちらも高品質な南部鉄器を提供する老舗ブランドです。鉄瓶や鉄鍋の魅力は、長く使い続けられる耐久性と、料理の美味しさを引き出す優れた性能にあります。さらに、適切な手入れを行うことで、次世代に受け継がれるほどの長寿命を誇るのが南部鉄器の魅力です。
サビに対する懸念も、正しく使用すれば大きな問題にはなりません。南部鉄器を手に入れた際には、その特性を理解し、適切にメンテナンスを行うことで、長く愛用することができるでしょう。