ブルーベリーの育て方:地植えのポイントはスペースの確保!

菜園

ブルーベリー栽培に挑戦する際、特に地植えを検討している方にとって重要なのは「スペースの確保」です。

この記事では、スペースの有無に応じた品種選びや代替案、さらに地植えの基本的なポイントについて解説します。

結論:ブルーベリーの地植えは2本分のスペース確保が必要

ブルーベリーを地植えする際に押さえておきたいのが、「2本以上の異なる品種を植える必要がある」という点です。

ブルーベリーの系統

日本で一般的に販売されているブルーベリーは、主に2系統に分かれます。

・ラビットアイ系
・ハイブッシュ系

このうち、特に「ラビットアイ系統」のブルーベリーは自家受粉できないため、異なる品種を2本以上植えなければ実がつきません。

2m以上の間隔を空ける

また、1本ごとに2m程度の間隔を空ける必要があります。ブルーベリーは枝が横に広がるため、狭いスペースに植えるとお互いの成長を妨げる可能性があります。このため、最低でも4㎡(2m×2m)ほどのスペースを確保することが成功への第一歩です。

同時期に、同系統他品種を植える

そして2本植える際は、「開花時期が合う」ことが大事です。なぜなら、他家受粉を成立させるためです。

ブルーベリーの受粉は、主にミツバチやマルハナバチなどの昆虫によって行われます。同時期に花が咲いていると、これらの昆虫が複数の品種間で花粉を運ぶことができ、受粉効率が上がります。反対に、開花時期がズレると昆虫が訪れても片方の品種だけが恩恵を受ける結果になります。

実付きの期間は限られ、その間にそのためには、同時期に、同系統他品種を植えることが大事です。

例:ラビットアイ系で2品種、または、ハイブッシュ系で2品種

 

スペースが限られる場合①:ハイブッシュ系統を選ぶ

しかしながら、2mの間隔を確保できない方にも朗報です。ハイブッシュ系統は1本で実をつけることも可能です。この系統には、以下の特長があります:

ハイブッシュ系統の特徴
  • 1本で実をつける品種もある:自家受粉可能な品種を選べば、少スペースでも育てられます。
  • 成長がコンパクト:枝が横に広がりにくく、限られたスペースにも向いています。
  • 実が大きい:甘味が強く、生食にも適しています。
おすすめ品種

ノーザンハイブッシュ系:寒冷地向け(例:ブルークロップ、デューク)。
サザンハイブッシュ系:温暖地向け(例:ティフブルー、サンシャインブルー)。

酸性の土壌作りが必須

ただし、ハイブッシュ系統は酸性の肥沃な土壌を必要とします。市販の「ブルーベリー専用の土」や「ピートモス」を使い、pH5.0前後の環境を整えましょう。

ポイント:

  • 特にハイブッシュ系は肥沃な酸性土壌でないと枯れやすい
  • ハイブッシュ系統は1本でも育つが、やはり2本植えた方が実付きはよい

 

スペースが限られる場合②:他のベリー系も選択肢に

スペースが限定される場合は、ブルーベリーにこだわらず、他のベリー類を検討するのも一つの方法です。これらのベリー類は1本で実をつける品種が多く、狭いスペースでも育てやすい特長があります。

ラズベリー
  • 1本で実をつける:自家受粉可能
  • 色のバリエーションが豊富:赤、黒、黄と多彩
  • 日陰でも育つ品種あり:光が少ない場所でも挑戦可能
ブラックベリー
  • 果実が大きい:甘酸っぱい味で人気
  • 耐寒性が高い:寒冷地でも育てやすい

ブルーベリーが育ちにくい土壌環境やスペース制限がある場合、これらの選択肢も家庭菜園の充実に役立ちます。

 

ブルーベリーの地植えの基礎

1. 植え付け時期

ブルーベリーの植え付けは、12月~3月の落葉期がベストです。この時期に植えることで、春に向けて根がしっかりと張り、健全に成長します。

2. 土の準備

ブルーベリーは酸性土壌を好みます。市販のブルーベリー専用の土やピートモスを混ぜて植え付けると、最適な土壌環境を作ることができます。

特に庭植えの場合は、庭土に直接植えつけるのではなく、「pH未調整」のピートモスを混ぜて、土をpH5.0前後の酸性にしてから植えつけることが重要です。ピートモスは、土壌の酸度を下げ、保水性を高める効果があります。

鉢植えの場合は、ブルーベリー専用の土を土台とし、その上にピートモスを乗せてあげましょう。

さらに、ブルーベリーは浅く広がる根を持つため、植え穴は30~40cmの浅さと直径50cm以上の広さを確保します。

3. マルチングの実施

マルチングの重要性

  • 保水性の向上: ブルーベリーは、根が浅く、乾燥に弱いという特徴があります。特に夏場の高温多湿な環境では、土壌の水分が蒸発しやすく、植物が枯れてしまうことがあります。マルチングをすることで、土壌表面の水分蒸発を抑制し、土壌の湿度を保つことができます。
  • 地温の安定: マルチング材は、昼夜の気温差による土壌温度の変化を緩やかにします。夏の高温から根を守り、冬の寒さから保護する効果もあります。
  • 雑草の抑制: マルチング材を敷くことで、雑草の種子の発芽や生長を抑制することができます。雑草との水や養分の競合を防ぎ、ブルーベリーの生育を促進します。
  • 土壌の保護: 雨水による土壌の流出を防ぎ、土壌の構造を保つことができます。雨による土の泥はねを防ぐことは病気の予防にもつながります。また土壌中の有機物を増やし、土壌改良にもつながります。

おすすめのマルチング材

  • バークチップ: 通気性、保水性、保温性に優れており、ブルーベリー栽培に最もよく利用されるマルチング材です。
  • 堆肥: 土壌改良効果が高く、植物の生育に必要な養分を供給することができます。
  • ワラ: 保水性が高く、土壌の温度を安定させる効果があります。

マルチングの注意点

  • 厚さ: マルチング材の厚さは、5cm~10cm程度が目安です。厚すぎると、水分が溜まりすぎて根腐れの原因になることがあります。
  • 交換: マルチング材は、毎年交換する必要はありませんが、2~3年に一度は交換することをおすすめします。
 肥料:油かすで栄養補給

ブルーベリーの肥料として、油かすがおすすめです。油かすは、植物の成長に必要な窒素、リン酸、カリウムをバランス良く含んだ有機質肥料です。

油かすがおすすめの理由

    • 土壌改良効果: 油かすには、土壌の団粒構造を改善し、通気性や保水性を高める効果があります。
    • 緩効性: 油かすは、ゆっくりと分解され、植物に栄養を供給するため、肥料過多による根の痛みを防ぎます。
    • 有機質肥料: 化学肥料に比べて、土壌中の微生物の働きを活発にし、土壌を豊かにします。
鳥害対策:ネットを張って実を守ろう!

ブルーベリーの実が熟すと、鳥たちが食べに来てしまいます。せっかく育てた実を鳥に食べられるのを防ぐために、ネットを張って保護しましょう。

 

まとめ

ブルーベリーの地植えを成功させるには、スペースの確保が第一条件です。2本分のスペースがない場合は、ハイブッシュ系統の自家受粉品種を選ぶか、他のベリー類に目を向けることも有効です。

地植えでは、酸性土壌の準備や適切なマルチング、水やりの管理を怠らないことが、豊かな実りへの近道です。ご参考になれば幸いです。